モノの値段2

適正な価格とはなんなのでしょう?

需要と供給のバランス≒適正価格 資本主義のお手本の答えを出すと、こんな公式になると思います。

では、うちのお米の適正価格を考えると

慣行(農薬や化成肥料を使う一般的な)栽培に比べて手間は30倍くらいかかります。(慣行栽培をした事がないので感覚的な比較になりますけれど…)ひょとしたらもっとかもしれません。で、肥料を使わない分 収穫量は半分〜2/3くらいになります。半分と仮定して、手間30倍とかけると60倍の値段でなくては割に合わないハズとなります。

60倍!スゲーな!いいなぁ!

勿論、そんな値段ではお米は売れません。実情はスーパーで買う安いお米の倍くらい。良いお米+αぐらいの単価に設定しています。そこに送料がプラスされるので、お客様にとってはお安いお米ではありません。(生産者にとってもウハウハ高いお米ではありません。)

60倍にしなければ割に合わないはずなのに2倍の単価でもやっていけるのは直接販売が基本である事、それと設備費に資本投下がない。に限ります。

 

慣行栽培の専業稲作農家になるには、初期設備費で最低1500万円くらいはかかると言われています。それで15町歩(一反の150倍)の作付けをして、やっとなんとか普通に生活できる利益レベルになります。

一方 ウチの場合は、初期投資が畑作兼用トラクターの購入費を除けば30万円くらいしかかかっていません。(中古の田植え機、中古のバインダー、半分貰い物のはざかけ脚と棒、貰い物のハーベスター、乾燥機不使用、中古の籾摺り機と選別機)プラス自然栽培なので肥料代なし、農薬代なし、自家採種しているので種子代なし と生産経費も全然かかっていません。(かけていません。)作付面積は慣行の方の1/30の5反だけ。(これが畑作兼業でできる人力除草稲作の限界です。)

 

かけるのは愛情と手間と観察力だけです。

 

面積の少なさ、収穫量の少なさを 初期投資の少なさと生産経費の少なさで補って、ちょっとだけいい値段で直接お客さまに売る。

ねっ、なんか60倍にまでしなくても大丈夫そうでしょ。

 

 大きなお金を得る為に、大きな投資をする。動くお金が大きいからお金持ち気分は味わえるかもですけれど、実質の実入りはそんなにバカみたいには変わらないのじゃないのかなぁ?と、僕は思っています。一般社会もおなじようなものじゃないですかね?お金を稼ぐためにお金を使う。出たり入ったりグルグルしすぎて儲かってるのか?損してるのか?割に合うのか?合わないのか?みんな判らなくなっていない?(未来への負債までを考えたら、きっと割に合ってない。)

それに肥料や農薬に頼らない自然栽培ならば肥料や農薬の値段が上がろうが、鎖国しようが、戦争になろうが、余り関係なく生産を続けていく事ができます。

なんにせよ。大儲けしたい訳じゃない。家族がちゃんとしたお米を食べながらおすそ分けみたいな感じで、価値と価格と食味のバランスがとれたお米を売れれば良いな。そして、細く長く生活と再生産が継続できたらいいなぁ!と、百姓鈴木は考えております。

 

自然から根こそぎ奪う事さえしなければ『太陽と水と土は、ぼくらをずっと養ってくれます。』 奪うから、失うのです。