『勝つか負けるかそれはわからない。それでも闘いの出場通知を握りしめ、あいつは海になりました。』
しっかりと霜の降りた朝。快晴の予感。午前中はバタバタと畑の片付けをして、午後から久しぶりに家族ででかけました。
行き先は『上越』
前日から妻の実家に泊まり朝から遊びまくっていた長男はチャイルドシートでグッスリと眠り、次男もウトウトしながらご機嫌さん。奥さんとゆっくり話をしながらの道中でした。
一時間半ほど走り目的地の名立川に到着。車から降りて川面を眺めるとあちらこちらで鮭の遡上がありました。
ヒレは傷つき身体の半分が白いカビに覆われているモノも多い。それでも懸命に川を遡上する鮭の群れ。生きるものの強さを具現化した様なその姿を息子に見せたくて来ました。
『鮭はナニを食べてるの?』
『川に上がった鮭はもうなにも食べないよ。卵を産む場所まで登ったら産卵をして死んじゃうの』
『かわいそう』
『でもね。死んだ親鮭の身体は巡り巡って生まれた稚魚鮭を育てるんだよ。』
『お父ちゃんは死なない?』
『そーだなー。透太の子供を抱っこしたいから死なないよ。』
そんな会話を長男としていました。
『ファイト。闘う君の事を戦わない奴らが笑うだろ。ファイト。冷たい水の中を震えながら上ってゆけ。』