自然農と東洋医学

 りんもく舎は夫のぼくが有機農家の『りんもく耕舎』を営み、鍼灸師の奥さんが『りんもく鍼灸舎』を開業しています。二軸推進で自転車よりも進まない徒歩操業の日々を送っています。真面目にやってりゃ儲からない仕事ですが、お互いに天職と思える事を仕事としていられることに感謝をしています。

 

『東洋医学と自然農』は対象が『人なのか、野菜なのか』の違いがあるだけで、考え方、捉え方は殆どおなじです。生命と言う大きな括りのなかでは人も野菜も根本はおなじなのです。

 

東洋医学の医食同源(食べた物が心身を作る)は野菜と肥料の関係でもおなじで栄養過多や栄養不足、また不純(未熟)な肥料は病気や虫を呼び込む元になります。

身体の冷えが万病の元と東洋医学では考えます。おなじように有機農家は、土の冷えをとる事、簡単に言えば生命の循環が活発な土にする事に力を注ぎます。

未病(病になる事を未然に防ぐ)は東洋医学の基本姿勢です。僕たち有機農家も特効薬(農薬)が使えません。使えないかわりに薬を使わなくても野菜が実るように目に見える地表の部分ではなく、目に見えない土の下に想いを馳せ、バランスのとれた土や環境を育てる手伝いをします。病気や虫が制御できなくなるほど増え広がるのは、根本(土台)が間違えていると考えるからです。対処方法を学ぶのではなく、対処が必要ない状態をつくる事を日々考えています。

 

野菜を通してこの世界を眺めていると『やはりどこか大切なところで道を間違えてしまっているなぁ』と感じる事が多いです。西洋医学や慣行農業を否定している訳ではありませんし、それらの有用性や重要性もしっかりと認識してはいます。

それでも経済性に軸足を置いてしまうと効率や利益を求め過ぎてしまいます。自然が与え得る以上のモノを求めてしまえばどうしても無理が生じます。その無理を抑え込む為には農薬や化学合成肥料が必要になります。農薬や化学合成肥料を使えば地力は衰えます。そうするとそういった外部からの力に更に頼らざるを得なくなります。

一時の利潤の為に根こそぎ奪う。跡は焼け野原。その道を行くのか?

細く長く自然が与えてくれる糧をもらい続けて穏やかに進むのか?

なが〜い目で見たとき、どちらの道が生命の本質に寄り添っているのでしょうか?

りんもく舎は搾取よりも循環の道を往きたいと思っています。