人為無用

 農業を本格的に始めて10年になります。最初の7年間は自家用メインで育てていました。極力 外部購入資材は使いたくなくて、竹を切り出して支柱にしたり、ビニールマルチなども使っていませんでした。

3年前に専業農家になってからは効率なども考えて、少しずつ資材を買い足してきました。で、今年から始めて不織布を使用してみました。

不織布と言うのは、水と日光は入れつつ保温効果のある布で、人に例えるとカーディガンみたいなモノです。

どれだけ効果があるのかと路地と不織布で試した所、かなりありました。あんなんでも少しは暖かいのだなぁと感心。(写真手前が不織布使用、奥が路地のかぼちゃです。)

 

 不耕起栽培7年目の畑は、殆ど完成の域に達していて地表をハコベが覆い尽くし、その中から野菜が頭を出している状態になっています。

自然農の創始者 故 福岡正信氏は、その著書のなかで『人智無用』と説かれています。(福岡さんの著作は殆ど哲学書です。)自然はそのもので既に完璧である。よって、人の知恵など本来は必要がない。と

 

 10年畑を観察し続けて、今の僕が得た答えは『自然は完璧、故に強く、故に脆い』です。(但し、いまの僕がたどり着いた地点での答えです。)

この事を説明するのはなかなか難しいのですけれど、経験的に、僕が良かれと思い行った行為が正しい選択に繋がるよりも、間違った選択に繋がることが多いな、と感じる事が多々あるからです。人の手を極力排除した方が、生態系のバランスが整いやすいな、と感じるのです。

極論すれば、僕が通路を歩き雑草を踏みつける、かき分けるその行為だけでも、その場の完全性を歪めるのです。

ならば農家に出来る事など、なにもないではないか。になってしまうのですけどね。…傷つきやすい自然を見守りながら、ちょっとちょっとの手助けを、最適なタイミングで行う。それ以上の人為は不要であると

そんな、農家になりたいなぁと思う今日この頃です。