地面の上と地面の下

 ここ数日梅雨の中休みです。出荷の始まった野菜を運送会社に持ち込んだり、直売所に持っていったりしてからここ数日で一気に延び上がったハウスのトマトの吊り下げ作業をしました。ハウスの側幕は全開にしていても暑くて汗びっしょりです。

昼休みのあとは田んぼの除草へ。稲の活着は済んだものの、まだ情けないくらい貧弱に見えます。と、隣の田んぼを見ると濃い緑の稲が分節しながら徒長を始めています。パッと見、明らかに隣の田んぼの稲の方が順調に見えますよね。

だけどね。僕ら自然栽培農家からすると『そりゃ、病気にもなるし、虫にも食べられるよ。』って、思っちゃうのですよね。

(隣の田んぼ。緑が濃く、化成肥料の冨栄養で水面を藻が覆っています。見開きはうちの田んぼ。)

 

 化成肥料って言うのは、本当にスゴいです。稲でも野菜でも、植えたその日から育ち始める位の効果があります。一方、うちの稲や野菜は定植してからも当分は目に見えては大きくはなりません。

パッと考えると化成肥料を入れた方が稲や野菜にとって良さそうに感じます。が、植えて直ぐに育つって事は、根っこをちゃんと張らないまま大きくなってしまう。って、事なんですよね。

根っこがしっかりとしていなければ、見てくれは立派でも芯のない弱い作物になってしまいます。だから、病気にも負けるし、虫にも負けます。そして、農薬の力を借りなくては生きてはいけない作物になってしまいます。

 

 殆ど肥料のないうちの田んぼや畑の稲や野菜は地上に見える部分が伸びていない時には、必死になって地下の根っこを伸ばしています。そうして、頑丈に深く張った根は病気や虫や天候に負けない身体を支える土台となります。

初期生育で圧倒的な差をつけられた米や野菜も最後の収穫時には、それなりに遜色のない状態に追いつきます。(お米で慣行裁判の7、8割程度。葉物、根菜は遜色なし、果菜類は慣行栽培よりも長生きな分、沢山採れます。)

肥料でブクブクに育ったメタボの野菜と自分の足でしっかりと立っている小柄な健康体と、どっちが美味しいのか?どっちが人の健康に寄与するのか?

 

(慣行栽培のとうもろこし)

 

(だいたいおなじ時期に植えたウチのとうもろこし。葉っぱの色とサイズに注目)