長くて白い

 世間はお盆休みに突入したようで、観光地の信濃町町内も車通りが増えています。そんな世間の長期休暇とは無関係に百姓は続きます。

 

 りんもく舎では茄子を5種類作付しています。定期宅配が基本営業なので手を変え、品を変え お客さんに飽きられないようにしています。でも、珍しい野菜をお届けしても極一部の方には受けますが、たいていは受けません。

農家をしていて、食と言うのは非常に保守的な分野だなぁと感じます。トマトなら桃太郎、ぶどうなら巨峰といった具合に、殆どの人は慣れ親しんだ品種を好みます。また、土地柄に沿った地場品種なんかもあります。信濃町(北信)で例えれば『ぼたこしょう』や『小布施丸ナス』などがあります。

ぼたこしょうと言うのは、縦に潰れたピーマンのような形をした唐辛子辛い野菜です。まわりの人は大抵作付しているので、りんもく舎でも数年間は作ったのですけれど、町外の人には非常に評判が良くなかったです。『辛い❗』『どーやって使うのかわからん💢』などなど

なので、今年は作るのを止めました。

すると奥さんが『ぼたこしょう作ってないの❗』と、信じられない❗みたいな反応。… そして、『こしょう漬け(郷土料理)作れないじゃない。』とか、のたまう始末。

『あんた、年に数回しかこしょう漬け作らへんやん…』

 

あれ?話が変な方にトンだな。ナスの話やったはずなのに…

 

 りんもく舎で育てているナスは基本の長ナスが『真黒茄子』、それから在来種の『在来青ナス』、固定種の『ローザビアンカ』、欧米人に好まれる『フレンチ白ナス』の毎年作付4天王と、今年はじめて育てた『味しらかわ』って品種になります。

この味しらかわは『白くて、超細長い』茄子です。

超長ナスは『庄屋大長』と言う品種が有名です。大きくなっても皮が薄くて味もよく、西日本ではメジャーな品種です。ただ、過去にりんもく舎でも作付しましたが、東日本の長野ではまったく馴染みがないようで、直売場でまったく売れませんでした。

白いナスは今年も作付している『フレンチ白ナス』です。クリーミーな食間でとても美味しいのですが、これまた保守長野の直売場では殆ど売れません。(庄屋大長よりはマシですけど) ただ、美味しいから意地になって育てています。

そんな売れない2大ナスを合体したような『味しらかわ』は、やはり売れません。

奥さんから言われました。『なんで、そんな不利なナスを育てようと思ったの?』って、…『本当にそうですよね~。』

『味しらかわ』

樹勢旺盛でやたら大きくなり豊産品種らしく毎日たくさん採れます。…『こんなにあるけど、どないしよ?』