種のお話

 なんだか、安易に触れちゃいけない話に突っ込んだ気がします。内容が専門的過ぎて説明が難しい。

(前回続き)

F1種が増えた理由は、簡単に書けば『F1種には利点が多い』からなのですよね。異なる遺伝子を掛け合わせて優勢遺伝の法則に従って新しい種を作れば、例えば『豊産』である。とか『きれいな形がそろう』とか『病気に強い』とか『成長が早い、そろう』とか、市場流通や栽培管理に強味がある野菜を意図的に作ることが出来ます。

F1種の欠点としては『形質に重きが置かれて味が悪い』とか『自家採種が出来ない』なんかになります。

特に自家採種が出来ない事に異を唱える人は多いのですが、自分で種取りをするのは技術的にも手間においてもたいへんなので固定種を育てている農家の内、どれだけが自家採種までしているのか?と言えば、極少数になります。元々、自分で種を取る気がないなら固定種に拘る理由は薄くなります。

 

 農家として個人的には、固定種とF1種を比べた場合『正直、どちらでも構わない。』とぼくは思っています。種子の来歴よりも『おいしい野菜を育てたい』が、りんもく舎の一番強い想いになります。だから、固定種でおいしい野菜があればそちらを優先して使いますが、なければF1種を作付します。

例えば、南瓜、トマト、トウモロコシでは固定種においしい種(僕の気に入る種)がないので全てF1を使っています。反対にマメ科、ウルチ米など採種しやすいモノは自家採種を続けています。要はケースバイケースなんですね。

りんもく舎全体での配分は、だいたい100品種作付しているの内 固定種が7割程度(含自家採種) F1種が3割程度 になります。これは専業農家としてはかなり高い固定種使用割合になります。

それでも有機栽培農家をしていると時々『絶対固定種じゃなきゃダメ❗』と言われるお客さんがおられます。そこで『なんでダメなんですか?』と聞くと、なんとなくあやふやな返答。『だって、種出来ないじゃん。』なんて言われたり…『それは遺伝子組み換えの自死種子の事じゃないですか? F1でも、ちゃーんと種は出来ますよ。孫の形質が暴れるだけで』と、いちいち説明をします。

そんなこんなで心の狭いぼくは『農家の苦労もわからんとイメージで話やがって💢』とか思っていたりしました。

ところが今回読んだ『種が危ない』ではF1種子の危険性が判りやすく書かれていました。少なくとも、僕にとっては『それは一理あるかも?』と言う内容で

 

話が長くなりました。次回は、その部分に触れてみたいと思います。