種のお話 続き

 僕の個人的な認識として『味と育て易さなどでF1種の方が固定種よりも優位であるなら固定種に固執する理由はない。』と思っていました。

固定種を誇大に信仰するお客さんに対しても『市場(お客さん)が求めたからスーパーで売られている野菜の殆どがF1になったのじゃないか❗』『農薬はダメって言っているけれど、農薬を使えたからこそ今の安価で野菜を買えてるのじゃないか❗』『どうして農薬を使う(慣行栽培)農家に責任を押し付けて悪者にするのだ❔』と思っていました。

僕自身は信念として農薬や化成肥料を使わない有機栽培農家になりました。その為に多大な苦労もしています。でも、だからと言って農薬や化成肥料を使う慣行栽培農家が苦労していないとは思っていません。彼らだってギリギリ一杯の生活なのです。儲かっている農家なんてほんの一握り。その殆どが補助金を有効に受けている大規模農家なんです。

市場(お客さん)の求めに応じた野菜を作るためにF1種を使い、農薬を使い、化成肥料を使ってる。なのに自然志向の人達やお母さんたちからは悪者扱いされてしまう。じゃあ一つ1000円でキャベツを買ってよ。って、そう思います。形が揃っておいしくないけど100円のキャベツを求めたのはあなたたちでしょ?って思います。

固定種信仰に対してもそう言ったお客さんのエゴのように感じていました。ところが、現実にF1種の隠された危険性が『種が危ない』には書かれていました。

F1の種を作るためには、人為的に親の雄花(花粉)を排除する必要があります。その為、昔は開花前の蕾から雄しべを人力で取り去っていました。所が、近頃は突然変異で生まれた雄花がつかない元親(雄性不稔種)を育成培養して使うようになりました。(極端に省力化できるからね。) 前回 科によってF1と固定種の比率が違うと書いたのも雄性不稔種の親が見つかったのか、見つかってないのかが深く関わっています。

この雄性不稔種が危ないと一部の方が主張しているのです。

原理としては、生物の細胞のなかにはミトコンドリアがあります。このミトコンドリアは元々は大昔に細胞のなかに入り込んできた別の細胞(生命)なのです。寄生したと言うか…そのミトコンドリアのお陰で私たちの細胞は酸素からエネルギーを取り出し、強い力を得て、繁栄してきました。

雄性不稔と言うのは、このミトコンドリアがちゃんと働いていない細胞(種子の元)の事なのです。雄が出来ない遺伝子異常=ミトコンドリア異常の野菜を常食したり、その花粉が一般社会に溢れだしたことが、今日の不妊(精子減少)の増加に繋がっているのではないか?と、言われているのです。

全面的に信じる事もありませんが『なるほど、そう言う理屈か』とも思いました。

 

 2016年に生まれた子供のなかで体外受精の割合は18人に一人でした。2000年時点では97人に一人だったので、近年物凄い勢いで増えている事が判ります。その主因が何処にあるのか?ちゃんと調べて対処していかないと、その内に人は顕微鏡のなかでしか生まれなくなってしまうのではないかとぼくは危惧しています。

食べ物は身体を作るから食べ物にその原因の一端があるのではないか?と、僕は考えています。