妥協の産物

 有機農家と言ってもそのやり方は千差万別です。慣行農法に準じたやり方で『とりあえず農薬と化成肥料さえ使わなければ良い。』と言ったスタンスから『完全無施肥で放任、その土地で育つ野菜だけでよい。』と言ったコアな自然農まで、内容はいろいろです。

りんもく舎はと言うと『出来れば不耕起で施肥は極力控える。資材も極力控えたい。』と自然農寄り有機栽培を志向しています。

でも、野菜を売って生活を成り立たせている以上、最低限の収穫と効率化は避けては通れません。どんなやり方が良いのか?自分の思想と合っているのか?そのすり合わせの毎日になります。ベストを求めつつ、ベターな道を歩いています。

慣行、有機栽培共に良く使われる農業資材の一つにマルチがあります。マルチがどんなものが簡単に説明すると『巨大なサランラップ』みたいなモノです。

用途としては、土をマルチで被うことで雑草の抑制をします。また、服を着ているようなモノなので地温の上昇にも役立ちます。

りんもく舎では、極力石油由来の資材は使いたくないので、抑草目的では殆ど使ってはきませんでした。地温上昇が必要な野菜(南方系=さつまいもや里芋、スイカ、オクラなど)とつる性で雑草管理が難しい野菜(南瓜など)、水分管理をしたい野菜(甘瓜など)と全体の1割程度の使用に納めていました。

ですが、今年はじゃがいもにも使うことにしました。理由は、じゃがいも収穫後の後作への簡便化の為です。馴れていないマルチを張り、じゃがいもを植え付ける。フッと見上げた畑の姿に、少し凹みます。『これがじぶんのやりたい農業の姿なのか?』

日々、妥協と意地のせめぎあいです。うまい着地点が見つかるといいのですが…