夏草冬草

 数年前から気候変動の影響か『春と秋が短くなった(なくなった)』と言うような話をよく耳にします。確かに、今年に関してはそんな印象を受けます。

畑に生える雑草には、夏草と冬草があります。ふたつをなんとなくな印象で分けると夏草は空に向かって大きくなる強いタイプの草たちで、冬草は地面に広がる優しい感じの草たちです。

りんもく舎は、除草剤などは使わずに畑をやっています。その為、雑草と野菜たちのそれぞれの成長バランスにはすごく気を使っています。野菜たちと雑草たちを普通に競わせた場合は、たいていは野生の強さを持っている雑草が勝ってしまうからです。

苗を育ててから定植する野菜たちは、畑に入った時点である程度自立出来る大きさになっているのでまだ楽です。問題は種で蒔いて育てる野菜たちです。

更地の状態から『よーいドン』で競争させてもたいていの野菜は、力強い雑草に負けてしまいます。そこで重要になってくるのが播種のタイミングです。

夏草と冬草が切り替わる少し前のタイミング、耕運した土が落ち着いて、雑草の種の発芽スイッチが入る少し前のタイミングを狙って、野菜の種を蒔きます。野菜たちに、ほんの少しでもアドバンテージを与える為です。

今年の初秋は暑く、残暑が長引きました。野菜種の発芽も不良でしたが、それ以上に冬草の発芽が遅れました。大敵の冬草の発芽が遅れたのなら、野菜にとっては良いことではないか?と思いますよね。でも、違うのです。

気温が高いと葉っぱを食べる虫たちの勢力も旺盛です。発芽したての幼い野菜たちは根切り虫に刈り取られ、カブラバチの幼虫に葉っぱをムシャムシャと食べられてしまいます。

例年ならば遅れて発芽してきた雑草のなかに紛れ込んで被害を分け合うのに、今年は一緒に育つ冬草たちが周りにいません。結果、畑の葉野菜たちはスズキが目を背けたいくらいの惨状に…

雑草は大敵のようにみえて、一緒に育つ好敵手でもあったのです。

時期をずらして蒔いた秋冬葉物野菜。3発目からなんとか例年通りの雰囲気で順調にお友達たち(冬草雑草)と一緒に畑で育ち始めました。

お友達たち、仲良くしてね。