変態がふたり

 家から車で五分の所に同期就農の有機農家がいます。同期ってだけでもすごいコトなのに、ふたりとも少数派の有機栽培農家なのです。神の采配なのでは?と、本気で思ってしまうくらいお互いの足りない部分を補っています。彼がいなかったら今頃どうしていたのか?想像がつかないくらい、物理的にも精神的にもお互いで助け合っています。ゲイップルみたいな発言ですが(笑)

今年は彼の畑の白菜が調子が良くなくて、雪中用に我が家の余剰白菜を回すことにしました。

白菜の収穫前、ふたりして白菜の株元の土を触りながら話をしました。『この草の枯れた感じとか、団粒構造とか、いいよねぇ。』と僕。『スゴイ!ですね。最高っすねぇ。』と彼。

白菜の収穫中、根っこについた土を見て『この根張りと菌糸の感じ、すごくない?』と僕。『こっちの根っこなんて茸生えてますよ❗なんじゃこりゃ。』と彼。白菜はソッチノケで、興味を持つのは根っこの方、土の方です。まぁ、他人から見たら変人です。

で、彼が帰ったあと、僕はなんかモヤモヤした気持ちに。彼に白菜をあげたのは全然構わない。むしろ、役に立てて嬉しい気分。モヤモヤしているのは白菜の根っこについた土(雪下貯蔵は根っこを付けたままで土中に埋めます。)の方。

土を持っていかれたことが、なんか、財産を奪われたような気分になってるんです。『上物はどうでもいい。土が…7年育ったうちの土が…』そんな気分なんです。って言っても、全部集めても一輪車一台分くらいの微々たる量なんですけどね。

普通の人なら白菜の方に気持ちが持っていかれるハズなのに、変態の僕は土の方なんです。それがなんか笑えたし、いいなぁと思いました。

で、翌日彼に会ったときに『白菜より土の方が略奪された気分になっちゃったよ~』と言うと、『僕は、なんかシメシメって思ってましたよ~。』って、返されました。軽トラの荷台にこぼれた土を集めて、畑に入れたらしいです。

彼も変態でした。

二匹の変態農家ですね。