菌マンション

 暖かで穏やかな気候のお陰で野良仕事がはかどっています。このままのペースで余裕を持って一年過ごせればいいなぁと思う今日この頃です。

天気が良いと人間の方の負担は少なくて良いのですが太陽がギラギラしているとやれない仕事も結構あります。畑に元肥を入れたり、根っこや枯れた茎葉などの残滓を鋤き込む為の耕起もそのひとつです。

自然農では、畑に棲む菌をどれだけ増やせるか。が、とても重要になります。土のなかに棲む微生物(菌や細菌など)は、それぞれの特性に添って、地表に近い所や深い所、含水分量の多少でそれぞれが住み分けをしています。土のなかに微生物のマンションがあるみたいな感じですかね。

トラクターや管理機で土を起こすと、そのマンションを破壊してしまう事になります。りんもく舎では自給自足用に野菜を育てていた時は、マンションを破壊しないように不耕起栽培をしていました。

ただ不耕起栽培には、いちいち手間がかかるのです。手間をかければ、野菜の単価が上がります。でも、りんもく舎は選ばれた人にしか手に取れない野菜を育てたい訳ではありません。そこで畑と野菜と協議しながら落とし処の折衷案を模索しています。

そのひとつが畑全面を起こさず畝の一部だけを起こす『部分耕起』をしています。畝肩と通路のマンションを残し、微生物が水平移動することで壊れたマンションへの再入居しやすい状況を作る訳です。(ちょっと説明が難しいですね。)

合わせて、土を起こすタイミングにも配慮をします。適度に水分がないと菌は弱りますし、湿りすぎていると土が固く絞まってしまい好気性菌が死んでしまいます。それに太陽光の紫外線は、医療用の殺菌装置があることからもよくわかるように菌にとってはかなりの脅威になります。

そんな、こんなを計算しながら天気予報と土壌状態と作業手順をグルグル考えながらの毎日です。