気持ちの良い場所

 畑の状態が いまひとつ です。

野菜は育っています。でも、感覚としては、いまひとつなのです。生えている雑草の種類や株立の姿が、余り良くありません。なんとなくモヤモヤとした気分でいました。

『どうしてなんだろう?』『なにがおかしいのだろう?』

りんもく舎は、自給自足をスタートにして農業を始めました。最初はちいさな空地を鍬ひとつで開墾して始めた猫の額みたいな畑でした。毎日飽きもせず野菜の世話をして、会話をしていました。

就農して、最初はそんなに広くない土地で自給自足の時と近い形で野菜を育てていました。ちいさな事でも気に止めて、野菜たちと二人三脚で歩んでいました。

六年が経ち、野菜作りのやり方はうまくなりました。事実、野菜たちはできてはいます。でも、なんか、違うのですよね。技術的には巧くなったけれど、野菜たちとの距離感は昔の方がずっと良かった。

いまは『野菜を作ってる』感じなのです。そうじゃないだろ?『野菜が勝手に育つ場所』を育てたかったのじゃないのか?気持ちの良い場所を、心地よい場所を育てたかったのじゃないのか?

面積が増えて、野菜をたくさん収穫しなくちゃならなくなって、失った。ルーチンワークじゃない。もっと、ちいさな事にいちいち躓いて、畑と野菜とちゃんと会話していかなきゃダメだよな。

そんな事を思っています。