種のお話

 昨日、一昨日と天気が悪く農作業ができませんでした。今日からは晴天予報だったので夜明けと共に起きて農作業をしようと思っていたら、まさかの雨降り…。只今、晴れ待ちです。

ここの所、種について聞かれる事が多い。で、だいたいおなじ勘違い(混乱、混同)をされている。なので、も一度おさらい種の話を書きます。

注.僕自身しっかりと理解していないのでやや間違っている部分もありますけど…とっかかりとして読んでね。

 

ひとから話を聞いていていちばん多い勘違いがF1種と遺伝子組み換え種を混同していることでした。

種の来歴をザックリと分けると「固定種」「F1種」「遺伝子組み換え種」があります。

固定種は純血種ともとれ固定種から採れた種は親の資質(遺伝情報)を子孫へと代々受け継ぎます。ただし完璧にではなく、概ねです。時々、先祖返りしたり、突然変異が生まれたりもします。(その突然変異が有益なモノであれば、その種を代々採種することで、新たな品種を作ります。そーやって人は雑草から野菜を作り出してきました。)

F1種と言うのは、別々の親を掛け合わせて出来た種で、その資質は一代限りで特定の形質が出現します。孫の代以降への資質の引き継ぎは安定せずバラバラになります。だから一代交配と言います。

が、種ができない訳ではありません。また採種株を取捨選択し育種育成を永年繰り返すことで、ある程度出現形質の安定した新品種にとする事も可能です。(時間をかければ固定種にする事もできる。)

一方、遺伝子組み換え種はある植物にまったく別(の生物から持ってきた)遺伝子を切り貼りするように組み込んだ種のことです。自然界では絶対に起こり得ない事を科学技術を使うことで可能にしています。ある意味では新たな種(キメラ)を人の手で生み出す神の領域とも言えます。

不妊性種子(ターミネーター種子)と言うのは、遺伝子組み換えのいち分野で、遺伝子組み換えで獲得した有益な遺伝情報を持つ種を、農家自身が自家採種できないようにするために開発されました。(種苗会社の戦略)

遺伝子組み換え技術を使って遺伝子の中に自己崩壊プログラムなどを組み込み、ある時期が来れば枯れたり、不妊性の種子しかできなくした種のことを言います。(ごめんなさい。ここらへんの詳しい内容はよく知りません。)

 

種子は本来その植物がじぶんの子孫を残すために作ります。生涯をかけ、全精力を注ぎこむからこそ栄養価の高い次世代へ種子(希望)を作ります。

じゃあ、不妊性種子っていったいなんなのでしょう?なんの為に、植物はその無意味で空虚な種子を作るのでしょうか?

なんだか生物としては訳がわからないことになっています。

まぁ、種無し巨峰とかも(ぶどうからすれば)なんの為に作るのかわからない果実と言う意味では一緒ですけど…(こちらはジベレリン処理という薬剤処理で種を作れなくします。)

 

あー、やっぱり説明むずかしい。

 

 遺伝子組み換え種については、人や自然界への危険性は(現時点では)わかりません。人の手で遺伝情報を組み換える倫理的な問題や生命の元である種を不妊にさせる行為がどんな問題を孕んでいるのか?切り貼りした遺伝情報は他品種への交雑は起こらないのか?まぁ、農薬をバンバン撒いても全然平気な穀物ってだけで、十分にヤバそーですけどね。

種のできるF1種についても、ひとによってはF1種を作る為の技術(場合によって薬剤処理したり放射線照射したりなどして、雄性不稔と言う雄花ができない突然変異を使います。)がマズイと言われる方もいらっしゃるし…

 

 なんかあらためて考えるとむずかしい問題ですね。なにかを得るには、なにかを手放す必要があるし、正邪は背中併せな気がします。

昔のまま(固定種)が良いと言いながら、種のないぶどうの方が食べやすいから種無し巨峰にし、見栄えのよい野菜を手に取ってF1種を広め。もっと安くと遺伝子組み換えの食品を買う。(家畜飼料や安い植物油、大豆製品なんかは、ほぼ遺伝子組み換えと思って良いです。)

その結果として、昨今の内外疾病や不妊の増加に繋がっているの(かも)しれませんけど…まぁ、社会の選択としてそれでいいって事なのですかね?

知らないと言う事は、抗えないと言う事なんです。なんか書いていて悲しくなりますけど…

 

 

とりあえず、りんもく舎では固定種を作付の中心にして継続持続循環できる農業を目指してはいますけどね。(じぶんのために)

 

コー言うこと書くと面倒くさいちゃんになっちゃいますね。すみません。