野菜を売って生きる事

 知り合いの有機米農家の先輩がよく言われます。「農家やる奴はバカ。普通にお金が稼ぎたいならコンビニでレジ打ってる方が全然イイよ。」って、そう言いながら、もう20年くらいお米を育てています。

本当に農家は労力の割に儲かりません。大雨や日照りの度に必死で一歩一歩積み上げてきたモノが台無しになる。そんな世界です。

慣行栽培農家ですら全然やってられないそんな状況ですから、有機少量多品目のウチなんぞ鼻で笑えるレベルです。

夜明けと共に起き出して日暮れまで働き、夜は梱包作業に追われる。

冬と夏で体重は1割も減ってしまう。そんな仕事です。

でも、ぼくはこの仕事が好きです。(いまのところ)

お客さんに感謝されたり、取引先との信頼を感じられた時、ニヤリと笑います。

野菜が楽しそうにしていたら、胸の奥がグッって温かくなります。

儲からない事は知ってる。割に合わない事も知ってる。

でも、ぼくは農家として生きて行きたいのです。

地面の上で這いつくばって、生きて行きたいのです。