植林と雑木林

 金曜朝から月曜夜まで淡路島の自然栽培農家が遊びに来ていました。旅をしていた頃の友人で、僕の農業の師匠でもあります。20年来の親友でお互いに結婚し、子供が産まれた今も往き来する仲です。今回は身重の奥さんと下の娘さんを残して、長女と二人での来訪でした。

夏野菜は収穫を待ってくれないので早朝に起き、朝は収穫と発送、昼間は遊んで夕方から収穫、夕飯食ってから深夜まで梱包作業をするハードな毎日でした。

それでも古い友が来てくれるのは嬉しく、バテバテですけれど充実した日々を送らせてもらいました。

 

 先日 夕方 収穫をしていると隣の畑に近所の知り合いが来ました。東京から10数年前にIターンしてこられた方で、80歳近い年齢にも関わらず趣味から始まった『養蜂』にどっぷりとのめり込んでおられる素敵な方です。その方と我が家の農法について少し話をしました。

『鈴木くんの畑は不思議なやり方をしているね。』と、

昔の方なので草一本生えていない畑が篤農家の証と思っていらっしゃいます。一方で我が家の畑は、通路も畝も草がボサボサに生えています。それなのに、野菜は元気に育っています。それが不思議でしょうがないのです。

有機農業や自然農は、既存の慣行栽培とはかなりかけ離れた考え方を軸にしています。ある意味では真逆の考えを栽培の根底にして行っているので、既存の農法しか頭にない人に下手に有機農法の話をすると相手を否定していると思わせかねなく、不快感を与える場合があります。だから、相手を見て話をします。

❌❌さんなら理解できるかなぁ?と、ちょっとした例え話をしました。

『❌❌さんは、植林された森と雑木林では、どっちが好きですか? 大抵の方は雑木林の方が好きですよね。』

『それって、植林した森よりも雑木林の方が生命に溢れて気持ちが良いって、感覚的にわかっているからですよね。』

『じゃあ、なんで? 皆さんは、畑を植林みたいな状況にして、野菜だけを育てているんですかね? 僕は、じぶんの畑を雑木林にしたいんですよね。いろんな生命が持ちつ持たれつしながら気持ち良さそうに生命を謳歌できる場所を作りたいんですよね。その為には、雑草も虫も必要なんですよ。』

❌❌さんは❔な顔をしながら去っていきました。

 

僕はいつも不思議に思います。

自分が野菜だったら『薬(農薬)を頭からかけられたいでしょうか?』『人間(単一野菜)しか居ない世界に住みたいでしょうか?』『暑い日差しを直接肌に浴び続けたいでしょうか?』『雨が降っても傘など要らないのでしょうか?』『呼吸の出来ないビニールの服(マルチ)を着せられたいでしょうか?』『栄養価の高いご飯だけを食べさせられてブクブクに太りたいでしょうか?』

自分なら嫌だと思うことを、なぜ 野菜には出来るのか?

僕には、よくわかりません。