循環農業

 展覧会三日目です。朝から会場入りしてなんの役にも立たないながら、でくの坊のように過ごしておりました。あんまりよく知らない人やまったく知らない人に会うのは思ったよりも疲れます。明後日の方角の会話を繰り広げながらの一日でした。

じぶんのやっている農法についていろいろと質問をされました。細部については語れても、全体を一言でピタリと表す言葉がいつものことながらうまくみつかりません。

そもそも、ぼくのやっている農業はどのカテゴリーに入るのか?ずっと謎でした。有機栽培?自然農?自然栽培?自然農法?…よくわかりません。第一、自然農とか自然栽培の定義がよくわかってないのです。『無農薬、無肥料、不耕起』が自然と言うのならりんもく舎はそのカテゴリーから外れます。

農薬は使っていない。化成肥料も使わない。でも、野菜によっては植物系の有機肥料を使う場合もあります。畑も耕起する場所もあれば、7年不耕起を続けている所もあります。結局、畑の状態と作物と作業性などから僕と野菜が相談して、歩み寄れる折衷案をみつけているのが現状です。一様ではないのです。

うまく言えないからこれまでは『自然農寄りの有機栽培』などと言ってきました。でも、しっくりとしません。自然ってなんだ?畑で作物を育てている時点で、もうそれは自然じゃないよなぁ~って…

 

きょうお客さんと話をしている最中に言葉が降りてきました。

『(自然の)循環のなかにある農業』

を、ぼくは目指しているのだと10年目でやっとしっくりくる言葉に出会えました。ちいさな輪がたくさん集まって、大きな環を作る。どっちが偉いとかじゃなくて、どちらもおなじもので、どちらも別のもの。

命が次から次へと受け継がれてクルクル回り続ける農業。僕の存在と他者の存在がクルクル回り続ける生き方。ちいさな場所で大きく循環し続ける。そんな田畑や生き方を目指しています。