自然発芽スイカ

 畑から出たモノは極力また畑に戻したいと思っています。なので枝豆の茎葉や売り物にならない曲がったきゅうりや虫食いのなすなどを、ドンドンと敷き草の上に戻していきます。

そんな風に畑に戻した野菜の種が、翌年 自然に発芽をすることがあります。生命力の強いトマトなどは畑一面にドッと芽吹いたりします。大豆や枝豆、いんげん豆などの豆科野菜。カボチャやきゅうり、スイカなどのウリ科野菜も自然発芽をしやすくて、畑のあちらこちらでピョッコリと顔を出します。

自然発芽の野菜たちは、じぶんのちからで必死に芽吹く姿がなんとなく愛しくて、栽培している野菜の邪魔にならない限りそのまま放置してしまいます。(蔓性のウリは結構邪魔にはなるのだけれど…)

そんな自然発芽の野菜たちを収穫して食べないのか?と言うと、食べれない事もないのだけれど、売り物には出来ません。

どうしてか?と言うと、F1種は形質が既に親とは違うし、固定種にしてもウリ科やなす科の野菜は、同系統他品種と交雑している可能性があるからです。交雑した野菜は、味や見た目、食味にムラが出てしまい安定した形質ではなくなります。

とんでもなく美味しい可能性がある反面、とんでもなく不味い可能性もあります。さすがに、商売としてはそんなムラのある野菜を売る事はできません。

 今年なすを育てている畝から自然発芽のスイカが芽吹いていました。何株か順調に大きくなり、実をつけました。そのなかなから一番大きくなった玉を収穫して、シャレで食べてみることにしました。

果皮の色は薄く、縦縞も見えるか見えないかくらいの濃度。大きさは大ぶりの小玉サイズ。包丁を入れると果肉は真っ赤で収穫のタイミングはバッチリでした。

味は、と言うと。

めちゃくちゃおいしかったです。濃厚な甘味にシャリシャリした食感、香しい西瓜の薫り。かなりレベルの高いスイカでした。このまま品種として確立したいくらいの品質です。

が、両親が誰だか判らないので無理です。

畑にある残り数玉の自然発芽スイカたち。それぞれがどんな味に育っているのか?なんだか楽しみになってきました。